墨田区の動物病院 亀戸動物総合病院の画像

超大型犬の胸腺腫の1例

亀戸動物総合病院 池田 雄太

はじめに

胸腺腫は前縦隔部の胸腺上皮に由来する腫瘍で、発咳や呼吸困難、吐出などの症状が認められる場合や、無症状で偶発的に発見される場合もある。また重症筋無力症や高Ca血症など複数の腫瘍随伴症候群を引き起こすことも特徴である。胸腔内腫瘍であるため、摘出には胸腔外科が必要であるが、切除可能なタイプであった場合は摘出後の予後は良好であることが多い。今回重度の高Ca血症を併発した超大型犬の胸腺腫において摘出後良好に経過している1例を得たので報告する。

超大型犬の胸腺腫の1例

症例

ロットワイラー 去勢済みオス 8歳齢 体重39.0㎏
元気消失のため近医を受診、レントゲン検査にて胸部腫瘤が認められたため精査・治療を目的に当院を紹介受診。

診断

一般身体検査では呼吸速迫、両後肢の虚弱が認められた。血液検査にてカルシウム値が19.3mg/dlと重度の高Ca血症が認められた。レントゲン検査(図1,2)では前胸部に巨大な腫瘤陰影が確認され、超音波ガイドにてFNA検査を行ったところ、多数の成熟リンパ球が採取された(図3)。鑑別診断として、胸腺腫と前縦隔型リンパ腫が疑われたため、FNA検体にてPARR検査を行ったところ、クローナリティーは陰性であり、胸腺腫と診断した。また高Ca血症の原因鑑別のため、イオン化Ca、PTH、PTH-rpを外注した。(表1)外注結果より高Ca血症は胸腺腫による腫瘍随伴症候群と診断した。

超大型犬の胸腺腫の1例
   図1
超大型犬の胸腺腫の1例
   図2
超大型犬の胸腺腫の1例
     図3
イオン化カルシウム 2.56 基準値1.24-1.56(mmol/l)
PTH 12.7 基準値8.0-35.0(pg/ml)
PTH-rp 14.2 基準値0-1.5(pmol/l)
表1

治療

第1病日、重度の高Ca血症の治療のため入院治療(ステロイド+利尿剤など)を開始した。入院点滴治療への反応は良好であり、第3病日にはCa値が正常化したため退院とし、内服治療に切り替えた。第28病日、外科摘出可能かどうかを判断するためCT撮影を実施した。(図4,5)
CT結果より大血管や気管などの巻き込みはなく摘出可能と判断したため、第31病日、手術を実施した。手術は胸骨正中切開によるアプローチを行った。血管処理や剥離には腹腔鏡外科で用いられるHARMONIC ACE+(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製 図6)を使用した。腫瘍は周囲組織への浸潤はなく完全摘出可能であった。(手術写真参照)術後の経過は良好であり、入院5日目に退院とした。病理結果は「胸腺腫」であり、術後6ヵ月の検診でも一般状態良好で、再発も認められていない。

超大型犬の胸腺腫の1例
   図4
超大型犬の胸腺腫の1例
   図5
超大型犬の胸腺腫の1例
   図6
 手術写真
超大型犬の胸腺腫の1例 超大型犬の胸腺腫の1例
開胸し腫瘍を確認
超大型犬の胸腺腫の1例 超大型犬の胸腺腫の1例
腫瘍摘出後
超大型犬の胸腺腫の1例
        摘出した胸腺腫
超大型犬の胸腺腫の1例 超大型犬の胸腺腫の1例
   術後のレントゲン1     術後のレントゲン2

考察

胸腺腫は診断においてまず前縦隔型リンパ腫との鑑別が重要であり、そのためFNA所見で判断がつかないような場合は、PCRにてリンパ球の腫瘍性増殖を除外することが有用であると思われた。
超大型犬で特に胸郭の深い犬種では、通常の胸骨正中切開では十分な手術視野とスペースが確保できないことがあるが、今回使用した腹腔鏡外科で用いられるHARMONIC ACE+は、シャフトが長く深い胸郭においても底部まで十分に届き、また細型の形状のため細やかな作業が可能であり非常に有用であった。

確かな実績
信頼のスタッフ陣
当院での治療例
安心安全な麻酔
去勢避妊手術でご不安な飼い主さまへ
健康診断のご案内
安心のサポートネット
人材育成への取り組み
獣医師スケジュール
求人のご案内
池尻大橋ペットクリニックふなぼり動物病院
Copyright © 亀戸動物総合病院. All Rights Reserved.
当サイトはリンクフリーです。ご自由にリンクをお張りください。
患者様ご来院エリア:墨田区 江東区 江戸川区